泥の中のぐちゃぐちゃ

わたしはいちさんどろっぷ

Team Helix Gruul完全ガイド(前編)

①もくじ

・デッキ概要(前)

・個別評価(前)

・採用しなかったカード(前)

・マッチアップ解説(後)

・今後の予想(後)

・Tips(後)

・おわりに(後)

 

②はじめに

3/22-24の日程で行われたGP京都に、Team Helixとして参加してきました。

最初に結果を述べると、本戦12-3、マネーフィニッシュ、MCQ TOP8など、目標のMC出場は叶いませんでしたが上々と言える戦績でした。

今回はその際に使用した、グルールミッドレンジのデッキガイドです。

これを読みながらプレイすれば、勝ち越しくらいは狙えるような文章を目指します。

長くなるので前後編に分けて公開します。

 

③デッキ概要

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こちらが今回使用したリストです。

このデッキのコンセプトは、「同マナ域最強クリーチャー軍団」です。

採用されている全てのクリーチャーが同マナ域に相打ち以上のスペックを有するので、順序よく展開するだけで一方的なゲームを作ることができます。

一方でアドソースや占術、諜報などの潤滑油的な役割を果たすカードはメインにほとんどないので、不器用なデッキではあります。

そのため、マナカーブ的にはミッドレンジに位置しますが、実際の動きとしてはアグロに近い戦略をとることが求められます。

 

既存のデッキのチューニングではなく1から作ったリストのため、細部に疑問が浮かぶと思います。次章では1枚ずつカード選択についてご説明します。

 

④個別評価

1.マナベース

まずは、構築上の制約を規定するマナベースから。

4赤緑ショック

4赤緑チェック

3赤緑門

2手付かずの領土

10山

1森

計24枚、色カウントは赤22、緑12、クリーチャー用はさらに+2でカウントします。

Karstenの理論や計算のサイトに当てはめると、緑×2のカードは採用できません。

仮に緑×2を出そうとすると、3t鎖回しの安定性を大きく下げ、グルールを使うメリットがかなり薄くなります。

手付かずの領土をこれ以上に増やすことは、オススメしません。

理由としては、燃えがら蔦と成長室の守護者の運用が不安定になることが挙げられます。

 

2.ザル=ターのゴブリン

デッキのコンセプトを体現する1枚。

2tに3/3は環境標準サイズをゆうに超えるので、攻防どちらに使っても強い。

低マナで唯一の非戦士なので、マナベースへの負担が懸念されて、一時は減らす流れになった。

しかし結果的には、メリットとのトレードオフということで、毎ゲーム初手に欲しいので4枚の採用。

 

3.成長室の守護者

デッキの貴重なアド源。後続を活かすためのスケープゴートにもなる。

徹頭徹尾プレッシャーを掛け続ける事が求められるこのデッキでは、クリーチャーで且つ手札が増えるカードは変えが効かない。

野生の律動との組み合わせは、後半においては決定打となりうる展開力を生み出せる。

チェインする能力であるため4枚の採用としているが、ほかに優先するものがあれば3枚までは減らしても問題はないだろう。

 

4.茨の副官

メタに合わせた1枚刺し。

赤単・白単はいかなる有利デッキもブン回りパターンで負けることがあるため、そのリスクを極力下げる意図での採用。

後半にパワーの上がる2マナ域は完全に腐りはしないので、メンバーによってはメインから2枚採用していた。

 

5.ゴブリンの鎖回し

環境最強3マナ域の一角。

Cip能力もさることながら、火力を多く有するこのデッキでは先制攻撃がコンバットにおいて重要になる。

過去の構築実績からも、カードパワーは疑いようもない。

今環境で跋扈するアグロ系に壊滅的なダメージを与えられるため、構築の中心となった。

マナベースへの負荷は凄まじく、3枚目までのセットランドのうち森を含むだけで4tに着地しなくなる程。

それでもリターンが遥かに大きいため、4枚の採用は揺るがない。

 

6.グルールの呪文砕き

速攻、サイズアップ、トランプル、そして呪禁。全ての能力が噛み合った、奇跡のクリーチャー。

クリーチャー戦ではサイズアップ、コントロールやコンボには速攻と、刺さらないマッチは存在しない。

特筆すべきは呪禁の器用さで、相手の除去構えを全くの無意味にできる。

2-3t目のアクションの遅れはこのデッキに対しては特に致命的で、後続のクリーチャーをさばき続ける他なくなる。

受け手がこのクリーチャーを戦闘で落とすためには、バットリを考慮した過剰なブロックをせざるを得ないため、実質的に相手メインでの除去を強制できる。

4枚積まない理由が存在しないため、当然の4枚。

 

7.再燃するフェニックス

除去耐性、回避能力、高パワーと3拍子揃ったデッキ内最強のクリーチャー。

単純に強すぎるため、不動の4枚。

 

8.スカルガンのヘルカイト

相手のゲームプランを破壊する5マナ域。

5マナに到達する頃には、順当に展開できていれば数枚の除去を相手に強制しているため、飛行クロックが走り続けてゲームエンドに持ち込める。

また、PWの直接的な処理に困るこのデッキでは、飛行と速攻を持つヘルカイトがその役割を担うことが多い。

基本は速攻で運用するが、アグロデッキに対しては2点分割能力の起動が明確なゴールとなる。

マナの確保が不自由なこのデッキでは、通常のゲームレンジで使える5マナ域は1-2枚であるため、5マナのカードは合計で4枚までの採用と決めていた。

調整当初は4枚積まれていたが、後述の厄介なドラゴンに1枠を渡して3枚の採用。

 

9.厄介なドラゴン

Team Helix渾身の1枚。

重要になるのはコントロールと再生&ネクサス系。

序盤からのクロックが高く、速攻持ちを大量に有するこのデッキでは、容易に5点のライフを払わせない。そのため、着地したパルンやライラを除去してゲームに勝つ。

クリーチャーでありながら、根の罠の影響を受けないことはネクサス戦におけるフィニッシャーとして、ヘルカイトよりも優れていることを意味する。

クリーチャー戦では残った軽量クリーチャーをサクられ、5/5飛行と最低限の仕事になることもあるが、他のカードですでに上回っているので問題ないことがほとんど。

使用感としては1マナ軽くなり、5/5飛行が付いてきたX=5の苦悩火。

 

10.ショック

アグロに対抗する枠。

 環境の1-2マナ域のカードは場に残ることによるボーナスが多く設定されているので、それらを効率よく除去するために採用した。

例外的ではあるが、再生系のサイドの生体性軟泥を確実に除去するためにも役立つ。

上記の目的から初手に欲しいカードではあるが、終盤には必要ないため3枚に抑えた。

 

11.稲妻の一撃

言わずと知れた万能除去。

最も意識した対象は、野茂み歩きと人質取り。ゲームが致命的に傾くこれらのカードを確実に除去するため、4枚以外はありえない。

根の罠有するデッキに対しても、別角度からの攻めを供給してくれる。

 

12.溶岩コイル

追加の稲妻の一撃。

タフネス4を焼けることや、フェニックスを追放できる点が稲妻の一撃との差ではあるが、今回の採用理由は相手の野茂みの枚数よりも多く除去を取りたかったため。

クリーチャーのいないデッキ相手に重ねて引くだけで敗着になりうるので、メインでの採用は1枚に抑えた。

 

13.争闘//壮大

除去兼押し込み、万能スぺル。

除去の明確な対象は、大嵐のジンと”パルン、ニヴ=ミゼット”、サイド後から追加されるライラ。

ネクサス相手にも、キルターンを速めてくれるいぶし銀。

3マナ域との相性の良さもすばらしく、速攻の呪文砕きとの組み合わせは実質5マナ7点火力に相当する。

どんな相手にも絶対に腐らない万能といえるスペルだが、クリーチャーがいないとキープできないハンドが多くなりすぎるため、2枚までに抑えた。

 

14.野生の律動

Team Helix渾身の1枚(その2)。

五分~不利マッチである、エスパーコンとスゥルタイの相性を大きく改善できる唯一無二のカード。

ゲーム終盤においても2マナ域が無視できないサイズに成長し、高マナ域は速攻をつけるだけで致命的なダメージを叩き出せる。

その機能は多岐にわたり、除去構えをすかす追加の呪文砕きのような役割や、土地3枚で詰まるダメージを軽減する役割もある。

これがあるだけで、今後増える同型戦でも相手のサイズを上回れる。

アグロデッキに重ね引きするリスクを考慮した結果、メイン1サイド1に散らすことになった。

このカードの採用枚数はメタゲームによって変動させるべきだろう。

 

16.燃えがら蔦

荒野の再生を使用する、すべてのデッキとの相性差を覆すサイドカード。

愚直ビートダウンであるグルールは、それをいなすために作られたネクサス系にはどうしても不利がつく。しかし、燃えがら蔦を張ることができればその相性差は一転、一気にグルール有利まで持ち込むことができる。

特定マッチでは何枚でも引き込みたいため、当然の4枚投入。

 

17.焦熱の連続砲撃

白単相手の負け筋を減らすカード。

白単相手には基本的に有利がつく上、鎖回しによる全体火力も有してはいるが、ベナリア史の連打だけは別の対応が求められる。

そこでAll2点のこのカードは、白単相手においては代えの利かないサイドカードとなる。

白単専用のカードであり、使用したい状況は限定的なため1枚。

 

18.ゴブリンの戦親分

シミネクと青単用クロック。

シミネクには蔦と親分だけで勝ち切れる程に信用できるクロック。追加のクロックを唱える必要がなくなるため、いつでも蔦の1マナを構えられ、火力も打ち込めるようになる。

青単相手には、サイド後の波濤牝馬の上から殴れるカードとして優秀。

調整初期にはエスパーやティムール再生にも入れていたが、タフ2を除去れる相手にはテンポロスを嫌ってサイドインしないことで結論が出た。

有効などちらのマッチも無くても勝てるが、あればより有利になるといったバランスのカードであるため、2枚の採用に抑えた。

 

19.ウルザの後継、カーン

妖怪エスパー殺し。

エスパーコントロールと、ミラーマッチで使用する。

エスパーは常にラスの恐怖に怯えないといけないにも関わらず、クリーチャー以外に展開するカードがなかったため、軸をずらせるアドソースとして採用。

ミラーマッチでは同サイズ同士で盤面が膠着するため、PWが強く使えることから投入する。

ミラーだけで言えばベストPWはビビアン・リードではあるが、前述の通り緑×2のカードはマナベース的に運用が難しいため、無色のカーンで安定性を重視した。

場持ちの良さに加え、除去られた後にもう一体いれば追放したカードを回収できることから2枚を下限と考えた。

 

⑥採用しなかったカード

この章では、検討するも使用しなかったカードの不採用理由についてご説明します。

今後のチューニングの際に、思考のショートカットとしてご利用ください。

 

前提として、戦士orゴブリンでない緑のクリーチャーはマナベースの問題で採用できない。

 

・狂信的扇動者

1マナ枠をショックと争ったカード。

対ノンクリーチャーデッキにおいては1t目の設置で3-4点のダメージを見込め、アグロに対してはタフ1を牽制できる器用な子。

0マナで探検誘発中のクリーチャーを焼けることも検討理由にあった。

事実、白単相手には大いに活躍してくれたが、1点という範囲の狭さが問題になるマッチが発生した、赤単戦である。

赤単戦において、ギトゥの溶岩走りが残ることは、魔術師の稲妻がLightning Boltに変化することに他ならない。

相手にテンポよく動かれ、こちらの手札には鎖回しと役割のかぶる最弱のカードが残る。

これでは勝てるマッチも勝てないということで、不採用に至った。

 

・シヴの火

ショックの対抗枠(その2)。

グルールを調整し始めた環境ではイゼットドレイクが幅を利かせており、タフネス4を焼けることに価値があったため、一時採用されていた。

現在ではドレイクはフェニックス型へと姿を変え、ネクサスに腐るカードを2枚以上入れないという決まりもできたため、溶岩コイルに枠を渡した。

終盤、人質取りをインスタントで焼けることは一応の魅力。

 

・クロールの銛撃ち

対青単ガンメタカード。

役割としては青単全般と、単純な2マナ3点クロック。

青単においては、こんなものが無くても9:1の相性差があることが判明したため不要と判断。

後半の役割は、2点火力で死なないことの方がクロックの継続性という観点から優れているということで、茨の副官に入れ替わった。

ミラーマッチが増えれば、もう一度採用されるかもしれない。

 

・凶兆艦隊の向こう見ず

2マナのアドバンテージソース。

調整初期に採用されていたことがある。

アドバンテージが重要になるミラーでは、2/1先制は貧弱で殴れない上、鎖でアドを稼がれる。

喪心を奪って野茂みを除去れたりもするが、複数の前提条件が重すぎると判断。

コントロールハンデスを奪えるのは、他にないメリットの一つ。

殴れる事の一貫性の方が重要と判断し、不採用。

 

・稲妻牝馬

青単対策。

前述の通り、青単にサイドを割く必要はないため。

 

・猛竜の幼生

アグロ対策。

受動的なアグロ対策は環境にマッチしないため。

 

・リックスマーディの歓楽者

安定性を求めての検討。

黒マナなしでは20%も使えないため。

 

・風雲船長ラネリー

戦親分のズラしサイド。

投入するマッチはほとんど戦親分と被るが、こちらには喪心を喰らわず、宝物によるマナ加速が期待できる。

アタック二度目までは戦親分と打点が変わらないことも驚きだ。後の続きやすさという点では戦親分よりも優れる。

しかし、タフ2除去を腐らせるサイドプランの有用性が認められ不採用。

波濤牝馬を超えられることが評価され、戦親分は残留となった。

 

・火による戦い

波濤牝馬&ライラ対策。

重い。ライラ対策であれば分割の方が優れている。

 

・舞台照らし

ドローソースとして期待。

絢爛の達成しにくさと、高マナ域が唱えられない問題があるため不採用。

 

・危険因子

エスパーコン用シークレットテク。

これがあれば、後手3t目にラスにクリーチャー突っ込ませずに済む。

1枚あれば再活込みで8点飛ぶので、エスパー側は無視できない脅威になる。

エンドに撃つことを徹底すれば、カウンターを切らせることで後続の呪文砕きや4-5マナ域が通りやすくなる。

不採用理由はエスパーコンにしか入れることができないため、より広く取れるカーンを優先した。

 

・苦悩火

コントロール&ネクサス/再生への詰め。

ライラも焼けるフィニッシャーとして、初期に使用。

X=5まで待たないと効果が薄く、6マナにはなかなか伸びない。

その上相手にはハンデスがあるので、いまいちかみ合わずダメダメ。

 

・殺戮の暴君

苦悩火と同じ使用感。

 

・宝物の地図

アドバンテージ&マナ加速。

テンポよく展開したいこのデッキでは、1マナの起動コストが重く、スゥルタイの人質取りが致命的すぎたので不採用。

 

・不滅の太陽

ミッドレンジ〜コントロールのフィニッシャー。

コントロールには苦悩火と同じ悩みを抱え、ミッドレンジといってもスゥルタイには奪われる。

結局はミラー専用に落ち着いてしまったので、潔く抜いた。

今後ミラーマッチが増えるのであれば、採用もありか。

 

後編に続きます。

(公開済みです)